企業年金最新情報

厚生年金基金の財政運営弾力化に関する通知が出状されました。

7月10日付で、厚生年金基金の財政運営弾力化に関する以下の通知が出状されました。

  • 「厚生年金基金の財政運営について」の一部改正について(年発0710第5号)
  • 厚生年金基金の長期財政計画の策定について(年総発0710第3号、年企発0710第6号)

内容は、5月29日付パブリック・コメントと変わっていませんが、確定給付企業年金については省令改正事項のため、まだ改正されていません。


主な内容は以下の通りです。

Ⅰ.掛金引上げの猶予【時限措置】

財政検証の結果、掛金引上げが必要となった場合、平成24年3月31日まで掛金引上げを猶予することができる。
平成20年度財政検証に基づく平成22年4月からの掛金引上げ猶予を行う場合、平成22年3月31までに厚生年金基金では「長期運営計画」を地方厚生局に報告し、確定給付企業年金では掛金引上げを猶予する旨を地方厚生局に報告する。

Ⅱ.継続基準抵触時の掛金引上げ【時限措置】

財政検証において継続基準に抵触した場合、許容繰越不足金を上回る額のみ解消できることとする。(下方回廊方式という)
平成21年3月31日から平成24年3月31日までの継続基準による財政検証で抵触した場合の財政計算における特別掛金が対象。通常の財政再計算は対象とならない。 

Ⅲ.最低責任準備金 期ズレの解消【恒久措置】

最低責任準備金の算定方法は変更しないが、継続基準における財政検証および掛金計算においては、期ズレによる差額を「調整金」として計上し、判定および掛金計算に使用する。平成21年度決算からの適用となるが、平成20年度決算による掛金計算には使用できる。

Ⅳ.「長期運営計画」ガイドライン

長期運営計画は、財政状況等の分析及び今後の事業運営のあり方の検討を踏まえた長期計画であり、長期的に持続可能な事業運営を図ることを目的としている。
ガイドラインで示されている標準的なものの内容は以下の通り。

(1)現状分析
過去5年間の不足要因、過去の制度変更による効果および将来10年間の将来見通しを行い基金の現状を把握し、「制度設計」、「運用方針」、「加入員数等の基礎構造」について現状の評価を行う。

(2)実施計画の策定
現状分析の結果を踏まえ、財政の健全化が図れるよう検討を行い、「制度設計」、「運用方針」、「加入員数等の基礎構造」について、改善のための実施計画を策定する。
なお、Ⅰの掛金引上げの猶予を行う場合は必須となるが、それ以外の基金についても策定が望ましいとされている。

ページトップに戻る